旅田です。
今回は『結論ファースト』という考え方についてご紹介します。
『結論ファースト』とは、カンタンに言えば《物事を結論から伝えること・その思考法》のことです。
これを身に付けると、何事においても〈結論を探すクセ〉が身に付き、話し方だけでなく、論理的な考え方までもが自然と身に付くようになります。
誰でも取り入れられる方法論!
突然ですが、皆さんはこんなことを言われた経験はありませんか?
「話が長い」
「で、結論は?」
「何が言いたいの?」
これらは、実は私もよく言われていた台詞です。
いまや新人研修で話し方の講師を務める私でも、元来、話すことは苦手でした。
しかし、今から5年前に新卒で入社したWeb広告代理店でSEOコンサルタントになったことがきっかけで、徐々に話し方が変わっていったのです。
(手前味噌ですが、100名以上いた同期で唯一の配属ポジションだったため、教育体制・理論は比較的しっかりしていたことをお伝えしておきます。)
今回は、大学4年間でデザインだけを学び、デザイナーとして新社会人になっているはずだった私でさえ劇的に変わることができた『結論ファースト』の方法論をご紹介します。
結論から話すことのメリット
前提として、結論から話すことには次のようなメリットがあります。
- 意思疎通が早く正確になる(速度⤴︎)
- 思考の遠回りをする無駄がなくなる(労力⤵︎)
- 目的が明確でハッキリした人柄に見られる(印象⤴︎)
では、これら3点を知った上で、実際の方法論をご紹介していきます。
『結論ファースト』が身に付く5ステップ
まず、次の5ステップを徹底して守るようにしましょう。
- 話の流れをチェック〈C〉
- 結論をピックアップ〈P〉
- なぜその結論になったかをオサライ〈O〉
- “結論から申し上げますと”〈“K”〉
- 結論>理由>詳細>結論〈KRSK〉
まとめて「クポッカースク〈CPO“K”KRSK〉」と覚えても、覚えなくても結構です。
今回はこれらを、よくあるビジネスシーンに当てはめて説明していきます。
話の流れをチェック〈C〉
例えば、今あなたは会社で「新しい松葉杖」の商品開発部門にいるとします。
新商品の企画会議中、上司が同席者全員に意見を求めてきました。
「みんな、次に発表する松葉杖の色は何色がいいと思う?」
まずあなたは、自分の順番がくるまでに〈自分が話そうとしている意見〉を頭の中でチェックしてください。
ポイントは、〈いま急に話し出した場合、自分が発しそうな言葉の構成・順番をイメージする〉です。
難しく聞こえますが、完璧にイメージする必要はありません。
物は試しで、まずやってみるのが手っ取り早くておススメです。
★実践★
(えーっと、私はいま可愛いデザインにはまっているんですけど、でもそれはなぜかって言うと、このあいだテレビで『今のトレンドはマンハッタンゴールド!』って芸人さんが言っているのを見て、あー確かに可愛いなって思ったからで、じゃあ他に可愛い色っていうと何かなー? って思った時に、思い付いたのがピンクとシャイニングダイヤモンドで、でもピンクは割とありふれているから今さら流行らないと思うから、シャイニングダイヤモンドが、私はいいと思います。)
例とはいえ、文字に起こしてしまうと更に分かりづらくて恐縮です。
要するに〈構成を組み立てずに話した自分の発言をイメージする〉ということです。
もちろん、実際には上記のように文字起こしをする訳ではないので、あくまで〈もし話すとしたらこんな順番で話すだろうな〉くらいのことを、頭の中で想像すればオッケーです。
この時点で無意識に結論から話せている方は、既に『結論ファースト』の半分をモノにできているので、ステップ2と3は読み飛ばして結構です。
結論をピックアップ〈P〉
一度、全体をチェックしたところで、次に〈結局、自分が言いたかった部分〉〈質問に対する答えの部分〉〈結論の部分〉だけをピックアップしてみましょう。
キーワードは、〈名詞〉〈名詞節〉です。
なぜなら、基本的に結論は〈名詞〉〈名詞節〉だからです。
〈名詞〉の例: 犬、猫、人、山田、ビル、看板、車、道路、東京 など
〈名詞節〉の例: 歩いている犬、高いビル、山田が喜ぶ笑顔 など
★実践★
結論:シャイニングダイヤモンド(名詞)
今回の例は分かりやすくしているため簡単に見えますが、実はこの結論を見つける作業が最も大変です。
本気で、全神経を〈結論を見つけること〉だけに集中してみてください。
なぜその結論になったかをオサライ〈O〉
次に、その結論に至るまでの流れをおさらいします。
ポイントは、
- 思考の過程を〈逆順〉で整理していく
- 「〜だから」で説明していく
です。
★実践★
シャイニングダイヤモンド(結論)
↓
ありふれたピンクを却下したから
↓
可愛い色がいいと思ったから
↓
芸人がマンハッタンゴールドと言ったから(起点)
これで、ポイントはざっくりと整理できました。
なぜなら、この〈起点〜結論〉までの流れが、最終的に発言する意見の構成要素になるからです。
頭の中だけで行う準備は、ここまでです。
“結論から申し上げますと”〈“K”〉
ここで必殺技を伝授します。
【結論から申し上げますと、】から話をスタートさせましょう!
これは、コンサルタント時代に先輩から教わったテクニックです。
ただし、このテクニックには悪い面もあります。
当時、これを使い始めた私などは陥りがちだったのですが、本当にこれを言うだけ言って結論が全然出てこない場合がありました。このパターンは良くないですよね。
これに陥らないためにも、上記のステップ1〜3をマスターする必要があります。
★実践★
「結論から申し上げますと、シャイニングダイヤモンドが良いと思います。」
ここまで来られたら、次はいよいよ『結論ファースト』の最終段階です。
結論>理由>詳細>結論〈KRSK〉
一般的な『結論ファースト』についての解説は、恐らくこのステップ5からのお話になるでしょう。
いわゆる思考法のフレームワーク(枠組み)における『PREP法』ともほぼ同義ですが、私がお伝えするのは『KRSK』です。
今回の例では、次のようになります。
〈K:結論〉シャイニングダイヤモンド
〈R:理由〉可愛い色の中でも、ありふれていないから
〈S:詳細〉ピンクやマンハッタンゴールドも可愛いが、ありふれている
〈K:結論〉シャイニングダイヤモンドがいい(再)
★実践★
「結論から申し上げますと、私はシャイニングダイヤモンドが良いと思います。
理由は、可愛い色の中でも、ありふれていないからです。
例えば、ピンクは非常に可愛いですが、ありふれています。
同じく、可愛いマンハッタンゴールドも芸人が推していたため、すぐに飽きられるでしょう。
よって、私はシャイニングダイヤモンドが最も良いと思います。」
ポイントは、〈結論が1つでも理由と詳細は複数あり得る〉という点です。
もしも理由が2つあれば、詳細もそれぞれに対応して2つあるはずです。
最後に
今回は方法論を具体的にご紹介したため、文字にしてみると膨大に感じられたかもしれません。
「会議中、こんなに考えている時間はないよ〜」
「紙とペンがないとできないよ〜」
といったご意見があっても不思議ではないと思います。
しかし、繰り返し訓練していくうちに、本当にこの5ステップが数秒でできるようになります。
「結論、何が言いたいの?」と言われがちな方は、これをマスターすることで自然と結論から話せるでしょう。
そればかりか、普段の会話においても自然と〈結論を探すクセ〉が身に付くため、考え方そのものが論理的になり、物事を分かりやすく説明することさえできるようになります。
ビジネスシーンや普段の会話から自分を変えたい方は、ぜひ実践していただきたいと思います。
この記事を書いた人
旅田 康貴ディレクター / デザイナー / イラストレーター
デザインが一番苦手なデザイナーを目指しています。最近、名字が変わりました。