こんにちは。Web部の小沢です。
普段見慣れている通販サイトやお店のポップなどの商品画像、すごく「ふつう」に見えます。
すごいことに、平面なのにさもそこに本物があるかのごとく写っています。
あんなに色も形もはっきりと写真を撮るのって意外と難しいですよね。
さすがプロ。
ですが、いちいちカメラマンを雇っている余裕がない方もたくさんいらっしゃるかと思います。
なので今回は「だれでもできる商品撮影」をどこまで少ない資材でできるか検証してみます。
予算をかけずにできる撮影
カメラはどんなものが良いの?
結構多い質問で、「どのカメラ使ってますか?」って聞かれます。
正直、商品撮影のときにカメラはそんなに高いものは使わなくても大丈夫です。
ただ、コンパクトカメラやスマートフォンよりは一眼レフがおすすめです。
理由はいろいろありますが、ざっくり言うと
・ノイズが少ない
・素早く撮れる&設定できる
・ストロボが使える(←これは機種によってはコンパクトカメラも対応してるかもしれませんが)
※あくまでキレイに商品撮影をするにあたっての個人的感想です。ちなみにミラーレスは使ったことがないのでスルーします。
ちょっと一眼レフって見た目がボタンばっかりで重くて扱いにくそうと思われがちですが、毎回全部のボタンを使うわけではないので必要な部分を設定してしまえばとても楽なのです。
前準備
さて、撮影の前に、当たり前ですが撮影する台を用意しましょう。
某大手通販サイトでも撮影キットは売ってますが僕は使ったことないのでスルーします。
先に最低限必要なものをいくつかピックアップしましょう。
・背景紙(白い画用紙で代用)
・少し奥行きのある台(テーブルでもOK)
・レフ板(こちらはハリパネで代用)
・クリップオン ストロボ(リンクさせるケーブル又はラジオスレーブも必要です)
・三脚またはスタンド(ストロボがどこかに括りつけられればなくても大丈夫)
ストロボの時点でちょっと予算を圧迫していますが…
まずはこれでやってみようかと思います。
レフ版は左右お好みで商品に45度くらいの角度で置いてみましょう。
実際に撮影してみよう
まずは普通に蛍光灯の下で撮るとどうなるのか。
レンズは標準レンズ(35mm_ – 55mm)で大丈夫です!
設定:F値 3.5 SV 1/80 ISO 1600 焦点距離50mm
次にストロボをつけてみます。
ストロボの位置は撮影台の真上。光を天井に当ててその反射を光源にすると良いと思います。
設定:F値 9 SV 1/100 ISO 100 焦点距離50mm
ここではっきりとした違いがいくつか出て来ます。
まず、写真の明るさが変わりますね。明るさ自体は
①「F値」を下げる
②シャッタースピードを遅くする
③ISOを上げる
などなどなんとかなったりします。
しかし、それぞれ商品撮影に不向きな点があります。
①F値の値を下げる程手前や奥がぼやけてしまいます。これはスナップ写真などでは良いのですが、商品画像としてはの細部が見えないので使えないですね。
②シャッタースピードを遅くするとどうなるか。わかりやすく言うと手ぶれや商品がぶれて見えたりしやすくなります。
こちらについては三脚などがあれば大抵はカバーできます。
しかし、何枚も撮らないといけないのにゆっくりともしていられません。
使い方としてはシャッタースピードを応用するとこんな感じの写真も撮れたりするわけです。
こちらはシャッタースピードを2秒。ちなみに夜です。
③ISOをあげすぎるとどうなるか。おそらく皆さん携帯電話のカメラで、暗い室内を撮影した時にノイズだらけだった事があるかと思います。
ISOを上げすぎるとそのようなノイズが出やすくなってしまい商品写真としてはちょっと汚いですね。
スマートフォンやコンパクトカメラではこの現象が起こりやすいので注意です。
以上の点から、「F値は上げる、シャッタースピードは早くする、ISOは下げる」という結論になるのですが、そうすると写真は真っ暗ですね。
なので、ストロボを光源にするのです。
ちなみに、商品撮影では大体焦点距離は50mmで撮影します。(※あくまで個人的な意見ですが)カメラの構造についてはいずれ書かせてもらうとして、なんで50mmなのか。
それは、「肉眼で見た時と遠近感が近いから」です。
プロの写真に近づけてみよう
撮影セットを作り込む
まだちゃんと撮れていないので、もう少しちゃんとしたセットを組みたいと思います。
追加するものはこちら
・廃材のポール
・トレーシングペーパー
・アクリル板
それぞれカメラ屋さんでちゃんとしたものがそれなりのお値段で売ってます。
でも、今回は家や事務所にある材料でどこまでできるかやっています。
・モノブロック ストロボ×2(前述のクリップオンでもやる方法はあります)
・アンブレラ(ストロボ用のレフ版だと考えてください)
・三脚またはスタンド(2台目のストロボ用)
ここばっかりは多少値が張りますが今度こそグレードアップ!
ストロボセットについては某オークションサイトで割と安いのもあるようです。
土台が安物で組んでるだけあって大した内容にはなりませんでしたがこれでも大分変わることを願います。
天井のトップライトは奥の背景紙にあてるイメージでカメラ横のメインライトは傘で光を抑えつつ対象から45度くらい角度をつけてみましょう。
※モノブロックは「P.cell」をオンにしておけば同時に光ってくれるのでケーブルは一本だけでOK
ラジオスレーブがあればさらに良いのですが…
光量が変わると撮影の幅が広がる
さっきと比べてどこが変わるのか試してみましょう!
設定: F値20 SV 1/100 ISO 100 焦点距離50mm
光量: トップライト 3/4 メインライト 1/1(アンブレラ) ※出力
いかがでしょう?
トップライトで背景と全体に、メインライトで商品を浮き立たせればとても見やすい写真になりますね。
このくらいに撮れればめんどうな加工も必要ないので作業効率は良くなるはずです!(画像のサイズ変更は必要ですけどそれは自動処理で…)
あとはこのセットを常時置いておければあとはシャッターを切るだけですね!
ちなみに構図についてやAdobe photoshopの自動処理についてはいずれ機会があればご紹介します。
いろいろな撮り方
「硬い」光
比喩表現なんですが、先ほどまではシート越しに光を当てていたのでなんとなく「柔らかい」光になっていました。
では、 光を直接対象に当ててパキっとした雰囲気にします。
設定: F値 10 SV 1/100 ISO 100 焦点距離50mm
男性向けの商品などででよくこんな影のついた写真を見かけますね。
手前45度からメインライトを直で当てています。
さらに下に黒いスエード(光が反射しにくい起毛した革)を敷いてみると…
設定: F値 10 SV 1/100 ISO 100 焦点距離50mm
と、なるわけです。
今更ですが汚い靴で申し訳ございません。
白い対象の撮影方法
設定: F値 SV ISO 焦点距離50mm
光量についてはかなり感覚ですがメインライトをやや弱めにすることで「白」と認識できる写真が撮れます。
※画像はわかりやすく差をつけていますが実際はもっと明るくても大丈夫です。
透明容器の撮影方法
こちらはやや準備が必要になります。
なにせ撮るものが透明なのでなんとか輪郭を出してあげないといけません。
そこで最初に用意したハリパネの裏に黒い画用紙を貼って「黒締め」をしてみます!
※画像左は黒締め無し、右は黒締め有り。
設定: F値 18 SV 1/100 ISO 100 焦点距離50mm
光量: トップライト 3/4 メインライト 1/1(アンブレラ) ※出力
左は瓶の上部が完全に白飛びしていますね。
この場合、透明の対象を撮るというよりは「シルエットを撮る」が近いですね。
また、この撮り方だと黒いボードも写り込んでしまいやすいのでトリミングが必要です…。
あとは、床も暗くなってしまうので床の影が必要ない方は透明のアクリルブロックを下に置くと暗い床が写らずに済みます。
最後に
今回はあくまでも「なるべく低予算で商品撮影をする」という目的のみでトライしてみました。
ですがカメラは被写体が変われば撮り方も変わります。
同じような商品撮影でも時計、宝石、などちょっと工夫が必要な撮影もあったり、広告ように違う雰囲気で撮影なんてこともあります。
どうやったら撮れるのか等、ご相談があればお問い合わせください。
この記事を書いた人
小沢 博之webディレクター/アートディレクター
PA→カメラマン→グラフィックデザイナー→アパレルメーカーのプレスを経て現在。なぜか調理師免許と古物商の免許がある。